古来より美しいと言われてきた建築には、それなりの理論に基づいた根拠があります。 美しさの要素の一例として下記のものが上げられ、これらのものに多く共通しているところは、 混沌としたものを、ある規則によって整えるという点です。 今回はその一例を紹介していきたいと思います。
統一 (unity) |
グラデーション (gradation) |
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様々なものを共通する点をつくることによって 一つにまとめること。 ex:歴史のある町並み 屋根・外壁を同じにすることで まとまりが生まれます。 |
形が次第に大きくなったり、小さくなる、 色が次第に濃くなる、薄くなる という変化のこと。 ex:五重塔 下にいくほど大きくなり、安定感があります。 |
繰返し (repetition) |
対称 (symmetry) |
同じものが二つ以上ある場合を 繰返しといいます。 柱、窓など建築には繰返しの例が 多数見られます。 ex:屋根瓦 形が繰返す場合は色も繰返す場合が多い。 |
動物や生物はほぼ対称的にできています。 対称は厳粛さ・荘重感を出すので、 日本・西洋を問わず記念建築・公共建築に よく見られます。 ex:パルテノン神殿 古代から現代まで対称はよく見られます。 |
釣合い (balance) |
比例 (proportion) |
形が違っていても、左右の分量が 同じ場合のことをバランスといいます。 建築では釣合いを使うと、対称よりも 柔軟さや軽快な感じが生まれます。 ex:法隆寺伽藍 低くて幅広の金堂と高くて 幅の狭い五重塔の釣合い |
部分と部分、部分と全体の形や長さの 関係を比例といいます。 比例は建築の美と最も関係が 深いといわれています。 |
大きさ (bigness) |
安定感 (stability) |
建築では、大きいということが 美を表現している場合があります。 ex:ピラミッド 小さな模型のピラミッドでは 出せない壮大さがあります。 |
建築物に関わる安定感は 建築美の重要な要素です。 伊勢神宮や法隆寺の建築など、 必要以上の太さで柱を 太くしている例が見られます。 ex:カウフマン邸 F.L.ライト設計 構造上安定だという観念が 見る人に無意識に働いてる。 |
※参考文献 : 「建築美を科学する」 小林盛田著 彰国社 |