ワンポイントアドバイス

結界ってなんだろう

「結界」とは通常、「清淨な領域」と「普通の領域」を区切ることをいいます。 もともとは仏教で僧と尼の生活の秩序を保つため、それぞれの場所を限定したことが 始まりといわれています。 とはいっても、日常であまり使われる言葉ではありません。 密教用語にはじまって、かつては日本語のひとつであったにもかかわらず、 今ではほとんど使われません。 建築で使われる結界は内外の空間をわかつ物的な装置といえますが、 重要なのはそれが空間を分けるものであっても、決して「壁」によって即物的に 隔てるものではないということ。 つまり、空間を区切っていながらも両空間を交流させるものなのです。

関守石

園路の分岐点などの侵入禁止を示す表示で、径15cm程度の石にシュロ縄を十文字に結んでいる。
止石ともいう。
帳場の結界

帳面に何かを書きつけ金を扱う世界であることを示すサイン。
 
 
盛塩

「建物内部は清められています。どうぞお入りください」のサイン。
注連縄

境界を示し、出入を禁止することを示すために張りまわす縄。


単なる目隠しや日除けだけでなく、簾をはさむ二つの空間を区切りながら繋ぎ、幻想的効果を高める。
このように結界は、私達の生活の場からなくなったのではなく、
今でも私達のまわりに存在しています。
これらは人が容易に超えられるものばかりですが、
いわば「心のけじめ」を物理的に表したものと言えます。
つまり、「結界」とは心や気持ちの切り替えを促す事ができる装置なのです。